お客さん側はなぜ不満を口に出さないか。
破格の値段であるし、みんな20代前半で若いから、少しでも雨風をしのげて、
とりあえず場所が確保できれば良いと思っているからかもしれない。
お客さんの方も、宿泊の予約なしで来たりする。
それか、予約フォームがばらばらなせいで、予約が取れているのかよくわからない状態で来るから、
だいたい皆、宿の門の前で立ちすくむことになる。
ホームページからくる問い合わせだったり、そこに書かれているメールアドレスだったり、
SNSのダイレクトメッセージからくる予約申し込みに気づいていなかったり
全て手作業なので、物理的に寝ている間、運転中、宿の仕事をしている時がほとんどなので、
ほぼ対応できていない。
そのため、お客さんの側も一か八かで来るしかない。
そんな宿だったが、こういう変なところには変な人たちがたくさん集まる。
たとえば、
例えば、ピンク髪の鼻ピン付きのアラサー女性、
未成年の、超若手サッカー選手、
モデルの卵、
会社員の人間関係に疲れ果てた者、
30歳でFIREを達成した大手自動車メーカーの元管理職の男性、
宮殿で踊るダンサー、
外資金融機関へ就職が決まった超エリート大学生、元工場長の巡業を希望者、
こんなおもしろいお客さんが夜な夜な、テラスハウスの呼び鈴を鳴らしてくるのである。
次はどんな人が来るのか、毎日わくわくである。