ここは、男女共同のシェアハウスである。
日本人しかいない、この僻地にあるシェアハウスは旅人や、
学生旅行の人達が泊まるような安宿である。
量産型の二段ベッドが各部屋三つずつある一般的なホステルだ。
男女あわせても全部で12人ほどしか泊まれないであろう、
この半地下のシェアハウスに中国系大家は、
雑魚寝というプランを追加して、リビングやソファの上で寝るという
宿泊スタイルを追加提供した。
お客さんの側も特に不満を持つことなく、ほとんど手入れのされていない、
ぺらぺらのマットレスの上に寝る。
量産型の二段ベッドが各部屋三つずつある一般的なホステルだ。
男女あわせても全部で12人ほどしか泊まれないであろう、
なぜお客さん側は不満を口に出さないかというと、
一晩でも寝る場所を確保できれば良い、安宿だとわかっているからという理由もある。
しかし、お客さんはまず宿泊の予約なしでくるか、
もしくは、予約ができているか不安なままくるから、宿の前で立ちすくむことになる。
大家の問題としては、たくさんのサイトにいろんな連絡先を載せているので、
更新されていない、ホームページからくるお問い合わせメールに気づいていなかったり
マンパワーのシステムのせいで、寝ている間や運転中、物理的に返信ができないとき
に来ている宿泊依頼に対応できない。
そのため、お客さんの側も、一か八かで来るといった事情があるようだった。
そんな宿だったが、こういう僻地には変人たちがたくさん集まる。
ピンク髪の鼻ピン、アラサー女性、
元工場長の巡業希望者、
現役若手サッカー選手、
モデルの卵、
会社員の人間関係に疲れ果てた者、
30歳でFIREを達成した大手自動車メーカーの元管理職の男性、
宮殿で踊るダンサー、
外資金融機関へ就職が決まった超エリート大学生、
こんなおもしろいお客さんが夜な夜な、テラスハウスの呼び鈴を鳴らしてくるのである。
宿泊者たちは次はどんな人が来るのか楽しみでしかたがない。